建築の記憶@東京都庭園美術館

閉館間近に、駆け込みで。
建築の記憶というタイトルのとおり、明治期の建築写真から図面及び模型、その他資料で古今の建築を語る展示。
今は亡き建築から新しいものまで、その時代によって『建築写真』というジャンルのポジションの変移がハッキリとわかって面白い展覧会だった。
なにより、個人的に一番感動したのが、東京カテドラル聖マリア大聖堂の丹下事務所の模型。
いわずとしれたメタリックで恐ろしく無機的で素晴らしい建築だけども
その模型はなんと木の質感をそのままにした素材で出来ている。
あの流線を木で表現する発想に驚いたし、
建物のコンセプトからは少しずれてしまいそうなシックな色合いなんだけれども
とっても轢きつけられる模型。あれにはうなってしまったよ。
あと、同じくそのカテドラルでは前川國男のコンペ案のエスキースが飾られていて
もしも丹下案でなかったらあそこの敷地にはこんな教会が建っていたのね、という感慨深さ。
でもねでもねー。あの時期の丹下さんの勢いは誰も止められなかったんじゃなかろうか!と代々木の競技場とかオリンピックでの仕事っぷり(氏のセンスとかでなくその統率力と政治力とかも含めて)からも思わせられる。
と。始終丹下さんのことばっかり考えさせれたのだけども
キャプション曰く、丹下さんは『建築写真』を撮られることを意識していたようで
それは建築を観て、撮ることを趣味としている素人目の自分からでも
丹下さんと前川國男の建築に対して感じていたことなのでピースがはまった感じでもある。
前川さんにいたっては、懇意にしていた建築写真家に全幅の信頼を寄せて全ての彼の建築を撮らせていたというのも分かって
建築家と写真家の関係性というのが羨ましく感じた。
庭園美術館内部に入るのは数年ぶりだったがあの建物自体、やっぱり素晴らしいですね。
閉館ぎりぎり、日没後のウィンターガーデンもまた良かった。