詩歌と散文


★つい先日、詩歌と散文についての美しい見解のようなものを読んでうぅと唸ったけれども出典や作者のことをすっかり忘れている。
というくらいに最近の出来事を片っ端から忘れていて
誰を相手にした会話なのかも忘れていることがあります。
☆君、それは老化現象というか脳に何らかの障害が出ているのでは?毎日アルミニウムの急須を使っているせいじゃないかね?
★いいえ先生、あの急須で入れたお茶はわたしは一切口にしておりません。
★畢竟…あ今「ひっきょう」って言いましたよね?!なにげに文學的ですよね。畢竟、女というものは肉体のみならず心までもがホルモンに支配されているんですよ。私の意志とは別にして八つ当たりしたりイジワル言ったりしてるんです。月齢周期と同じように。相手を泣かせたのも自分が今号泣したいと思ってるのもすべてホルモンのせいです馬鹿馬鹿しい。
☆僕はその畢竟という語句よりも「のみならず」を使った点に注目したいところだ。芥川かね?
★クワック。気づきませんでした。でも好きですよ、あの鵠沼?あたりを奥さんと文士仲間とを連れて歩いている月夜の話、なんでしたっけね。
☆ところで失礼ながら三十路すぎてそのカチューシャってのはどうしたもんかね?君。
★カチューシャ、いいじゃないですか。露西亜文學的で。だいたい頭にかぶるものは似合うのです私。そう言われたことあります。でもそれもヌカヨロコビと自己嫌悪の生活の一部ですか?
☆自己嫌悪というよりも単なる自己憐憫じゃないの?とっくに自意識なんか捨てたと思ってたが。どっちにせよ君は少し喋りすぎたようなのでもう喋らないことだ。ああ、そこのマフラーを。
★マフラーを巻いて、口元をおおう。


写真は東京都夢の島植物園