谷口吉生のミュージアム展@東京オペラシティアートギャラリー

http://www.operacity.jp/ag/exh60.html
昨年増改築を終えたNYのMOMAMOMAからの国際巡回展。
その設計をした谷口氏のMOMAのみならず、彼が多く手がけてきたアートスペースの展示も含まれているギュッと濃縮果汁のような密度の展覧会。
リニューアルされたMOMAの、コンペ時に提出したラフデッサン等
模型、設計図面、そして内外部に使われている建材(ドアノブ、錠まで)。
MOMAの歴史なんかもパネル展示されている。
一部に限られていたけれども設計図面を実際にめくって観られるのは嬉しかった。
建築図面だけでも何百枚何部門とあって
設備ひっくるめて設計施工の苦労が慮られる…


素人見解だけども、コンペに最後まで残った3人の建築士のプランの中で
谷口氏のが一番スッキリとしているし、
既存棟に殆ど手を加えずにそれでいて統一感のある美しいものに感じた。
上野国立博物館の法隆寺宝物館。
個人的に、氏の建築の中では一番好きでたまらないものなのだけども
MOMAにも法隆寺宝物館のニュアンスが存分に踏襲されている。
連れが「この辺法隆寺」とか言い出して
「あーそれ、いおうと思ったけど遠慮したんだってば」って会話をしたのだけども
MOMAに限らず、氏の織り成す美術館建築にはコダワリの線やコダワリの建材が溢れていて
それはマンネリということではなくて常に一貫したものに基づいているのだから
きっと会場で我々素人がした会話というのは禁句ではなかったはず。
MOMAの中にみられる「この辺が法隆寺」で「この辺が丸亀猪熊弦一郎」という感想は
決して文句ではないのだ。
法隆寺宝物館に久々に行きたくなったし、葛西の水族館もまた観たい。
そして未見の谷口建築にも興味津々。
今回展示にあった広島市の環境局中工場!
これは用途が違うこともあってか、美術館建築とは毛色、規模ともに違っていて凄すぎる。
大変なことになっている…。
やはりこれは尾道旅行に抱き合わせにして観に行くしかないか。
http://www.arch-hiroshima.net/a-map/hiroshima/naka.html


凍れる音楽
というコトバは薬師寺の塔を称すコトバとして有名だけども
今回の数点の谷口建築の模型なり写真なりを観ていて
このコトバが頭をよぎった。
あの直線がおりなす緊張感緊迫感。たまらん。