2008年晩秋中欧旅行2日目

疲れているはずなのだけど早朝に目が覚めてしまう。
朝御飯前、まだ夜明け前の街をちょっとだけ散歩して、東京とは違うそのピリリとした寒さを味合う。
夜明け前の真っ青な空と、深閑とした空気の下の石畳。これから数日のスバラシイ旅が予感できる朝だ。
ホテルに戻ってビュッフェの朝食をいただく。サラダでいいから野菜摂取!と思っていたのだけど野菜はキュウリとトマト程度。
こうして海外に出ると、普段いかに野菜を沢山採っているかがわかる日本の食生活。
ビタミン、ミネラルは果物で採るしかなさそうだなー。

ハッシュポテトのジャガイモの味の濃さ、グリルトマトの味の濃さ、豆のトマト煮ソース、ハム、ソーセージの味はさすが!
私はこのトマトと豆の煮込みが大好きで結局チェックアウトする日まで、毎朝頂いた。
凄く凄く美味しい朝食だったので2人とも朝から食べすぎ警報。夫は朝からソーセージを8本も食べてしまっていた。
朝食の後、人の居ない状態を写真に収めたくて、一番の観光スポットであるカレル橋〜プラハ城を目指す。
宿泊したホテルは旧市街広場という一番の中心地に近く、そしてかつての王の戴冠式パレードのために通った『王の道』と呼ばれる通りの出発点にも近い場所にあった。
この王の道をずーっと通ってカレル橋−プラハ城に行けたら楽しいだろうと思っていたのに、いきなりその路地の魅力にとりつかれ、美しい小道に足を踏み入れては私達は迷子になる。
碁盤の目でもないし放射状でもない路地。今思えば格別入り組んではいないんだけど、どれも魅力あふれる佇まいなのでうっかり足を踏み入れやすい街、プラハ。
気がつけばカレル橋の一本南側の橋に出て、そこから北上してカレル橋に着いた。
日曜日の朝、犬を散歩させる人やジョギングの人くらいしか居なかったけど
きっと観光シーズンの昼であったら橋が落ちるんじゃないかってくらいの人出だと思う。
そんなカレル橋も長期にわたって工事中で、今も真ん中の一部分が工事中。

思わず建築計画看板を撮っていたら出勤してきた職工さんに苦笑される。
どんなときも建築計画看板に目を通してしまうのは悲しいサガ。
橋を渡りきり坂道やら階段を上ってプラハ城に着く。
坂道を登る途中は極力後ろを振り返らないようにして、そして登りつめた(けっこうキツイ。雪が降っていたらもっと大変だったろう)先でエイヤと振り返る。
そこで目にした紅い屋根の街!!ああ、これこそが思い描いたファンタジーの街。こんなものは幻想だけだと思っていたけれども2008年の現在も存在する紅く美しい街だった。
多分、一日目に石畳に降り立った瞬間から魅せられていたのだけど…百塔の街…そう謳われるに相応しい街に心の底から魅せられてしまう。
入場券とカメラ券を買う。カメラ券ってのは撮影許可書みたいなもんで場内の見学地で写真を撮るには必要な券。日本円にして250円程度。
カレル場内の旧王宮は板張りの床の大広間という風情。その質素さが入った瞬間にドラゴンクエストの城の音楽が流れる。
こりゃーエニックスの研修旅行で絶対来てるよな、とか言い合う我々。
私なんか、私と夫2人だけの編成だったので後ろに棺おけ2つ引きずって息も絶え絶えに新しい街の新しい城に辿り着いたドラクエパーティの気分だった。オレ勇者。
城内にあるヴィート大聖堂は、ガイドブックによれば日曜は午前中のみ開いているとのことだったので頑張って午前中に行ったのだけど、何故かその日は午後から開くとのことなので先に旧王宮の展示だとか黄金小道と呼ばれるみやげ物街などを冷やかす。
この黄金小道は一階は長屋風情のみやげ物屋が立ち並び、その二階は全て繋がった長い回廊になっている。そしてその回廊には中世の武器やら鎧やらが展示されていて一角には模造品の武器なんかも売ってる。

なにここ!これは隠し階段を見つけた人しか知らない「強い武器」が売ってる武器屋だよね!と、もう、興奮する我々。RPGゲーム(しかも昭和の)をかじった人にはたまらない空間だよ、ここ!
一番奥の部屋には、老人が店番をするボーガン場あり。夫がチャレンジ。一回で五本トライできた。値段はすっかり忘れてしまいましたが確か日本円で200円しなかったかと…。
RPGだったらこのボーガン場でパーフェクトを出さないと次のヒントが貰えないなあーとか考えながらボーっとしてた私なので
ボーガン屋の爺さんには「レディ!彼の姿を写真に納めれ!」と喚起される始末。
みやげ物屋を冷やかしてもまだ時間が余る。先に『ストラホフ修道院』に向かうことにする。
これは、私が旅行前から一番行きたいところとして挙げていた修道院。何よりも、理想的と思われる図書館というか書棚のありそうな空間だった。
私は以前から理想の図書館を捜し求めていて、図書館などで世界の図書館資料を探しまわっていたのだけど…
ここは修道院だったせいか、図書館資料では捜し求めることができなかったものだった。
ここはなにがあろうと絶対観たいです、ということで喜び勇んで来たのだけど、ここも13時すぎないと開かないというので、寒い中暫し待って、よっぽど修道院ビールを呑んで待とうと思ったけど我慢して、そしていざ入館。
もちろんここもカメラ券も買ったのだけど…午後休み明けで入ったせいか割とお客さんは沢山で立ち入り禁止柵のところから譲り合いながら見学する状態。

…これは『神学の間』というのだけど…こういった空間で博物学的な事を考えながら一生涯を終えることは理想郷でもあるなーと思った。ホントに。
ストラホフ修道院を後にして、そしていよいよ開いたヴィート大聖堂へ。
ステンドグラスの見目美しいこの聖堂は入った途端にすっかり夫が魅せられて撮影モードに入ってしまったようなので
私は付き添い程度の気持ちでブラブラする。ここは入場料無料であるし特段カメラ券も必要ないらしい。圧巻であるのはステンドグラスの美しさ。一枚はムハ(アルフォンス・ミュシャと言った方が日本人には通りがイイがチェコ語ではムハ)によるものもある。
石造りのヴィート大聖堂、体の芯まで冷えきってしまったので遅い昼食をとる為にヴィートの近くのレストラン『Vikarka』へ。
ランチの相場としては決して安くもないのだけども、ここのお店のブランボラチカというジャガイモスープ(日本円250円程度)がお目当てだった。

ジャガイモといってもグズグズに煮込んであるのでポタージュスープみたい。でも味はニンニクやキノコの風味も効いていてとーってもとーっても美味しい。
冷えきった体にしみこんで癖になる美味しさ。スープだけでかなり満腹になったが私はこれの他に野菜のリゾット。夫は牛肉のグラーシュというチェコの伝統料理。グラスワインも頂いてすっかり満腹になり城を後にする。
朝よりも賑わったカレル橋を渡って、『王の道』を逆走して旧市街広場へ。朝は道に迷っていたのでこの旧市街広場には初めて足を踏み入れたことになる。
その時のなんともいえない気持ちは今思い出してもドキドキする感じだ。屋台でホットワインをいただいて宿に帰る。

遅い時間に沢山食べてしまったので夜御飯はスーパーで買ったハム、チーズなどなど、そしてやっぱりチェコビール。
三日目へと続く。