夏になると条件反射で本を沢山読む。学生時代からだいぶたつけど。

ねむれ巴里 (中公文庫)
金子光晴『ねむれ巴里』
何事をするにも「遅すぎた」とは私は思いたくないんだけども
この本っていうか金子光晴は少なくとも20代に読むべきだったと深く後悔した。
これを読んでいたらたぶん私はあの1990年代末期の頃に巴里に行って
そしてそこで「クソッタレ」とかつぶやいていたと思う。
4時のオヤツ (新潮文庫) ごくらくちんみ (新潮文庫)
杉浦日向子『4時のオヤツ』『ごくらくちんみ』
文庫化されました。どちらもサラッと読めるけど名著。
単に酒の肴と大人のオヤツ(うなぎパイにあらず)にちなんだ短編だけども
これを読むと女が生きていく勇気を与えられる気がする。合掌。
ズッコケ中年三人組
那須正幹『ズッコケ中年三人組』
40歳になったズッコケ三人組です。
小学生の頃にさんざん読んだんだから読まないと!と思ったけど40の彼らの実態って中々悲しいものがあった。
まだ安定も諦念も指針も定まらないような自分だから、かもしれない。ハカセ、やっぱり独身だったなぁ。
幸福な食卓
瀬尾まいこ『幸福な食卓』
『図書館の神様』から、好きです。1974年ってやっぱり凄い創作者の当たり年かもしれない!と思う。
瀬尾さんはほのぼのした日常を描くようでいて、綿々と続く文学の主流であるところの「何も起こらない日常」ではなくて、確実に小さな何かを構築して書いているように思う。だから、読後に厚い皮を一枚脱皮したような感覚がするのかも。
この『幸福な食卓』はいっぷう変わった家族のほのぼの話かと思っていたら1章ラストですでに心地よく裏切られ愕然とし、人が死ぬ最終結末では不覚にも号泣させられてしまった。恋人が死んだから泣くのかなんなのか。でも『図書館の神様』で校庭を走るシーンでも私は号泣した。悲しいシーンではなかったのに。なんかシアワセだけど悲しいのだ、瀬尾さんの文章は。でもこのまま教師を続けながら書いていって欲しいと思う。私はずっと着いていかせて欲しいと思う。