閉店によせてのライムライト

18,19歳の頃働かせてもらっていた書店がいよいよ今月一杯で閉店をする。
沿線から離れてしまってから数年
店先の方には全然遊びに行ってなかったけれども
行けば必ず店があって誰かがいてお話をする。
というのを当たり前に思っていたので
もうあの場所から店が無くなると思うと不思議でしょうがない。


私は、多分高校生の頃から池袋に行っては書店に立ち寄ることを常とし
高校を卒業して短大に入ってからは毎日池袋を通過するので
本当に足繁く店に通うお客さんとなった。
あの書店のたたずまいがとってもとっても好きだったのだ。
ある日いつものように通うとレジ横に小さくスタッフ募集の文字が。
その場で志願。
人手が必要とされる曜日は火曜日の午後から閉店までと
日曜日の丸一日、だった。
火曜の午後。ばっちり授業のコマが埋まっていた。
でも後期日程はあと何回か…その全てを欠席しても単位はなんとかなるだろう。
後先考えず、自分に払われる時給も知らず、あの書店で働くこととなった。


いま私は30歳で、自分の食い扶持は自分で叩き出さなければならない。
あの頃、親元にいて生活費を入れることもしない学生の身。
遊ぶといっても派手な遊びは一切せず酒も呑まず(ホントだ!)
レコードと本と服とたまにこまっしゃくれた映画や展示を観ること以外に
お金を使う理由があんまりなかったせいが強いとは思うけど
もう、後にも先にも、お金のこと考えないで働くことを即断することなんて無いと思う。
あの時の感じっていうのは後々まで影響して私は長いモラトリアムに入るわけだけど。


今夜、久々に書店にお邪魔して見納めをしてきた。
ちょっと感傷的だ。
夜御飯も食べずにビールを呑んでしまって助長してる感もある。ふらふら。
北園克衛の詩でも眺めて真っ白い建築のような気持ちになるとしよう。