川上弘美センセイの鞄』(ISBN:4582829619)
ツキコさん38歳。センセイ70歳(推定)。個人的に教師と教え子という関係性には嫌悪してしまうものの、これはとても好き。まずは恋愛というものを抜きにしても居酒屋小説としてもスバラシイ。のん兵衛は多分気に入るはず。山口瞳の『居酒屋兆治』(ISBN:4101111154)と並んで、読むと一杯やりたくなる小説。


初老のセンセイの美しくも不器用な距離感と、ガンジガラメな38歳の恋心。正統少女漫画のように甘酸っぱい面と、グロテスクな面を両方感じる。綺麗なファンタジーというようには捕らえられないちょっとの毒を、文章から感じる。
誰かを好きになって誰かと一緒に居ることの残酷さ。



個人的には、ツキコさんが夜道で「なんかもうわかんないや」と諦念を抱くところに共感してしまうのであった。


観てないけどWOWOWでドラマがやっていた。ツキコさんが小泉今日子でセンセイが柄本明だったとか。うーん…。センセイはもっと年寄りですよ。誰がいいかなーと必死で考えていたのだけど難しい。20年先の平田満とか。いいなぁ。朗読劇でツキコさんのセリフを読ませて欲しいよ、自分。