伊東豊雄展『建築のリアル』@初台オペラシティアートギャラリー


総評「鉄筋工・配筋工・型枠大工万歳!」につきる。岐阜県各務原市にある市営斎場「瞑想の森」の実寸型枠。あの起伏の大きな流線型の屋根のアレだ。わたしは職人ではないけれどそれでも実寸の型枠の上に立った(立っていいのだ!)時には、そこにたどり着くまでの施工者の苦労とそしてその技術力の高さにただただ頭が下がる想い。足元からゾゾゾと震える感じ。表参道Todsビルの型枠なんかも原寸であり、しびれる。Todsのあれも、ミキモトのあれも、素人考えではなんかランダムにウネウネと書いてるだけかと思ったけれども細密に計算されていて、そういう完成されたものに非常にわたしは弱いのだということを再確認する。
せんだいメディアテークのコアの美しさ。鉄骨って美しい。メディアテークのあのアイデアのいっちばん最初のラフスケッチがあって、あれを見せられたときにカラダが震えましたね、って所員の談話があって、色んな意味でカラダが震えるのはよーく理解できる。
しっかし設備担当から言わせてもらえば、メディアテークにしたって台中のオペラハウスにしたって空調ダクトとか電気幹線の通り道はどこをどうやって確保してもらえるんだろう?って頭髪の抜ける想いだ。あれ。
ポストカードとPILOTの伊東モデルを購入して帰宅。伊東事務所のワーカホリックぶりが堪能できる中々見ごたえある展示です。彼のデザインした椅子は中々すわり心地がイイってことが認識できるし。24日まで。
初台の山手通りのとこの道路の工事現場は、うっかり2ヶ月ほど眼を放した隙に、鉄筋工事が終了して型枠が張られていた。朱色の鉄骨が美しかったのに残念だった。この初台交差点近くの吉野家が異様にでかいのってやっぱり長期にわたる工期及び動員される職人さんの数のせいよね。この工事のためにあるとしか思えません。

山崎豊子白い巨塔
読了。大長編を読むのは楽しい。読んでる間は密度の濃い時間だのであんまり現実と向き合わなくていいからよかった。
財前センセイの義父のビジュアル表現がいつも「禿頭をヌルリと光らせ」だったり里美先生はいっつも「油気のない髪」であり、財前センセイそのものは熱く熱くその男ぶりが描かれて、山崎先生、惚れていたね?と推測できてニヤニヤしてしまう。自分の描いた人間に惚れてしまうことはよくわかる。わたしは断然里美先生派。ウットリ。ウットリついでにDVDをレンタルした。もちろん田宮財前に山本学里美のだ。田宮財前の話をしたら「年齢詐称疑惑」が出たけど詐称してません。断じて。でも連れてかれた神田のフォーク酒場でも言われたな、それ。


現実入門
穂村弘『現実入門』
人生経験値の低いと自ら言う歌人、穂村弘さんが色々な現実体験をするレポというかエッセイなのですけども、この体験をするにはいつも女性編集者が一緒で…以下ネタバレですが、この女性編集者とモデルルーム見学やブライダル見学などを経て実際結婚してしまうというラストになっていて、穂村さんが結婚されたのは事実であるのですけど、え?!これ現実?ひょうたんから駒???って真実は最後までウヤムヤだったけど、どうもこの編集者ってのは架空の人みたいですね。なにはともあれ遅ればせながらホムホム結婚おめでとう。内村の結婚、そしてリアルで自分の別れた人が結婚してたことを知った以来のショックでしたよ、これ!。ってなんか、どれもなんか結婚とか一生しそうもないって決め付けてた人がリアルに結婚?!っていうショックよ。あはは。
蛇足ながら、エッセイがうまく書ける人というのは損な気がする。もっともっとその小説だったり詩だったりそれこそ短歌を見たいのにゾクゾク出る新刊はエッセイばっかり、っていうフラストレーション。