それからはスープのことばかり考えて暮らした

それからはスープのことばかり考えて暮らした


元書店員としては、未だに本が床に積んだままの部屋なので、こんな状態のところへは可哀想で本を増やしたくなく思っていて、未だにあんまり本を買えずにいるのですが、これはずーっと前から読みたい本であり、これを読むなら今!というタイミングが自分の中で訪れてしまいましたので、図書館で借りてみてやっと読む。吉田さんの本は一貫して同じ街の同じ人が描かれているような印象。違うものを書いていても、全てそんな印象を受けてしまう。大きな事件も起こらないし、何か心を揺さぶるような哲学も書かれていないし、一生のうちで、その世界に触れなくても何の問題もありませんが、これは、固形スープの素を使わずに、ことことことこと野菜からだしを取る作業に似ているのかもしれない。単純だけど気長な作業。