ああ家がたつたつ家がたつ

自宅の二軒隣は木の格子戸門のある1階建て、絵に描いたような和風建築で
恐らく猫の死体があっても白骨になるまで気付かないような敷地があった。
そして敷地内には区で保護木指定されている6.7mはあろうかという欅が4本もあった。
サワサワサワサワ。森の中のような快い音が私の部屋の窓を開けても聞える。
朝、トリも泣く。有難い欅たちだったのだ。
だった、と過去形で書いていることからお察しされるだろうが
その家の老夫婦が思い切ったのか
その家をぶっこわしてマンションにするという。
4階建てだから、うちと同じような低層集合住宅なので
日照権は確保できる。まあそれはイイ。
保護木って、指定されちゃうと伐採とかできないって聞いたことがあるので
私は「ここがマンションになっても、あの欅たちを生かした設計にするに違いない」と決め付けていた。
世田谷だかのコーポラティブハウスは、敷地に古くからあった巨木を伐採することなく
取り囲むように設計した、とかなんとかそういう話も聞いた事あるし…。
だがしかし、既存建物の取り壊しが終了してやってきたのは造園業者。
一週間かけて、少しづつ欅を切り刻み、
そして今日完全に伐採されていた。転がる切り株。
確かに、このあたりはこんなに明るかったのか。と驚くくらい
欅がなくなったことで見通しがよくなった。
でもイコール夏の直射日光をさえぎるものが無くなった、ということなのだな。
それでいて味気なくなったコンクリ住宅のエントランスに
とってつけたような植栽をするんだろうなぁ〜。


やむにやまれぬ事情なのだろうけれども
欅がなくなってスコーンとぬけた夜空を見てたら何とも言えない気持ち。