野坂昭如『少女M』(ISBN:4062102501)
初老の文筆業を営む男が、援交で知り合った少女やら文學の勉強をしにきた少女やらと非常に淫らなことをする、とっても危険な妄想短編集。
私小説っぽく書いた、あくまでフィクションだということは頭では理解できるのだけど…登場人物=筆者、とも、そうでもないと言い切れない表現と、半ば、老人の妄想での表現、そしてあの特異な文体…というのが、読みすすめていくうちに何がなんだかわからなくなって最後にはエロだけが残る。いや、エロしか残ってない。
老人と少女の図式。絶対擁護と絶対支配にみえて、その実、少女に征服される老人。これを読んでいて、益々、氏がマスターベーション至上主義というようなことを唱えているのが腑に落ちる。
世は全て妄想。妄想こそが世。乱歩も似たようなことを言っている。うつし世は夢。夜の夢こそ眞、と。


ほんの四、五年前の作品だというのにそのエロ表現の古臭くて逆にとびきり猥雑な感じ。そしえ最後には、少女でもない人間ですら、作中の少女になって「おとうちゃま」とか言ってみたくさせる手腕。ごり押し。の、のさかセンセー…!