松谷みよ子『モモちゃんとプー』(ISBN:4061192329)
     『モモちゃんとアカネちゃん』(ISBN:4061192337)
眠れぬ夜には児童文学なのです。20数年ぶりに読み返してますが、もう、号泣であります。悲しい辛いとかそういうんじゃなく、余りにも自分が失ってきた、或いは自分には手が届かないんじゃないかっていう枝分かれした道の先にあるものに、号泣であります。
パパとママの離婚の経緯が、子供向けの言葉で書かれているのに凄すぎるのです。パパが靴だけ帰ってくるようになって、ママはもの言わぬ靴に御飯を食べさせる、というような表現で始まって…ママはしにがみにうなされるようになって森のおばあさんに相談にゆきます。
おばあさんは二本の枯れかけた木が植わった鉢植えから、二本の木を抜きます。一本は地面に根を張りメキメキ元気になり、もう一本の木は歩き出しました。ママは、育つ木。パパは、動く木。
一緒に居たらダメになるよ、ということで二人はお別れしました。歩き出した木には小さな宿り木が着いていました…って、そうか、女が居たのか…なんて、かつては考えもしなかったとこに目がいく自分が悲しいです。
松谷みよ子の作品をかなり沢山読んできていると思うのだけど、今読んでも驚くぐらい「光」に「死」や「闇」が隣り合わせになっている。大島弓子のソレと近いような気がしてなるほどと思った。