創作者は流浪する?


以前だったら絶対に共感できたであろう部分っていうのが
全くしっくり来なくなっていることに気づく。
人はそれを年をとったというのであろう、と思ったけど
別段それはショックとは思えなかった自分にショックを受けた入れ子の夜。
ありていに言えば
何も所有しないことだとか守るべきものがないことだとか安定しないことだとか
以前だったら創作者たるものそれが当然と思っていて
そういった「オレはなにも守るべきものがないからいつでも闘えるぜオゥ」というような話に
「おおお!そうだよね!」と我も大興奮で迎合し
夜中に雪の中を裸足で出て素振りするような勢いだった。
創作者=流浪民というような図式も勝手に描いていた。
『捨てる捨てる何もかも捨てる』と書いた無頼小説にもひどく憧れて。青い。
でもまぁいつのまにかそういったものに全く共感できなくなっていたのだよね。


「美術に戻ったほうがいいよ」という発言が出たのだが
そもそも戻るも何も最初から美術の中には居ない気がする。
自分やっぱり堅気の生活というか炊きたて御飯を毎朝食べてシアワセーとか思ったりするような
つましやかな生活を送りたい。穏やかな暮らしを。
たとえばやっぱり家庭の中の美術生活を送りたい、とか言ってホント年取っちゃったね。
12年前から創りたい美術って
自分で生んだ子供を生後365日1コマづつ撮り続けてネガフィルムベタ焼きして巻物作ることだもの。
本末転倒な創作意欲だし夢物語でもあるけどね。
しっかしなぁ、自分の子をモチーフにしてそれを創る時
私はこんなミノルタの中堅機でなくもっとお金持ちになってて凄い良い一眼レフカメラを使ったり
もしくはライカに転んだりとかしてるに違いないエヘヘとか思ってたけど
相変わらず私は12年前のカメラを今も現役で使っているし
世の中はデジタルカメラというものが主流となっているのは想像してなかったな。
まだ子供生んでない以上に。
っていうかコニカミノルタなんて会社も想像だにせずだよ!
あと、すっごく冷静に考えてみると
12年前の成熟女性が恐ろしい!と嫌悪していたような時期に
一応自分の中で「子を生む母性」みたいのあったのねーへえーと驚き。


今の生活が安定しているかというと全くそうではなく
んー、まぁ毎月決まった日に月給が出るのだから安定してるちゃしてるのか?
しかし根無し草であることには変わりないノマド。
いつまでも電子レンジ買わないでいたのはすぐに引っ越すと思っていたから。
それでも今の家に5年も住んじゃってループ。
今年は引越しが目標。結局流浪。まぁね。