磯崎新ル・コルビュジエとはだれか』(ISBN:4900456721)
個人的な趣向だが、無機的で、あまりにも整然とした建物を観ると、私は感極まってしまう。ゴシックの洋館なんかだと「ああ、綺麗だなぁ」で片付けられるのだけれども、直線的なものは「綺麗」で片付けられない。それは、大友克洋の『童夢』の団地描写に打ち震えて泣く、と同じ感覚で、突き詰めれば「一点透視」の美しさに参ってるのかな?と思っていたのだけども…。
この、磯崎氏の著書を読むことによって、直線的な一点透視以外にコルビュジェの「黄金比」ということを初めて知りえた。多分その辺も大きいのではないのかと思う。
建築に不勉強な私にとって、この本は「近代建築入門」としても取っ掛かりになるし、建築家磯崎氏から見たコルビュジェ入門、そして一人の建築家としての磯崎氏のことを考える取っ掛かりにもなる本。どうにか読了。これを読んでいると何故か絵を描きたくなるので、何度も本を閉じて鉛筆を持った。小説家でない人の文章は面白い。