キモノマイハウス 足袋は伸びる素材を


小股の切れ上がった女、というのは「スラリと粋な着物美人」というようなイメエジがあります。パッと辞書を引いてもそんな意味が書かれていました。股が切れ上がったとは、つまり、足が長く腰の位置の高いことを指していて、「小」は「股」に係るのでなく「切れ上がった」部分を修飾しているそうなのです。ということは、小股という部分は無いということになります。一説には小股は女性性器そのものを指しているというのもあるそうですが、もう一説には、足袋を履いた足指の、親指と人差し指の間の部分というのもあります。後者の説は結構納得できます。本来、遊女の様にゾロリと着付けない限りは顔と手首から先と足首から先しか露出してないわけですから「足が長い」とかパッと見では分からないハズでして…その点足袋の足指部分っていうのは露出している部分です。足袋がピシっと決まった状態というのは中々格好がヨロシイ。しかも、着物を着る時はまず裸の状態で足袋から履くわけで、その生足に白足袋ってなんかエロいよなぁとたとえおのれの足でさえもそう思えることもあります。*1
なんでこんなに長々と小股について書いているかと言うと、先日秋祭りに着物で行った折、余りにも足袋がきつくて足が痛くなってしまい、いよいよ諦め裸足に下駄になってしまったからで。裸足だとやはり浴衣を着てるようで、のぞく足袋エロスの悦び半減なわけです。足袋は、伸びる素材のものの方がイイナァと実感したのでありました。
にしても着物は楽しい。着物一枚に帯三本という言葉があるように、帯を変えるだけでイメエジがガラっと変わりますし、着物一枚に半襟五本と言いたいくらい、たかだか2cmの襟を覗かせるために凄く考える楽しみもあります。洋服のこと考えてるよりも、楽しい。

*1:余談:谷崎潤一郎の『蓼喰う虫』で、お互い浮気を認め合っている夫婦が出てきますが、老夫が妻の白足袋に欲情するシーンがあったと思うのだけど定かではない。